たったひとつの嘘

作・なかまくら

2010.7.1

「黙っててもなんにもならないんだよ」

割れた窓ガラス。転がるボール。

松本君が先生に怒られてる。階段の陰から僕はそれをじっと見てた。

実は僕は随分前からそこで見ていて、本当の犯人を知っている。

松本君はいじめっこ。僕はいじめられっこ。僕は黙ってる。いつも黙ってる。

だから今日も黙ってる。

そんな僕をいつも助けてくれるのは中川君。中川君は僕のヒーロー。


階段の上から中川君はやってくる。


黙っててくれてありがとう。


中川君は、僕のヒーロー。